膵臓がん新薬を米FDAが前倒し承認 臨床試験で生存期間が従来の約2倍に

がん細胞の遺伝子変異シグナルを阻害する標的治療のメカニズムを描いた科学的イラストレーション
AI生成イメージ(概念図)
ヘルス報道記事

米FDAが膵臓がん新薬「ダラクソンラシブ」を予定より6か月以上前倒しで承認。臨床試験では既存治療が効かない患者の生存期間が化学療法の約2倍に延びた。

3 POINTS
●米FDAが膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ」を当初予定より6か月以上前倒しで承認
●特定の遺伝子変異を阻害し、臨床試験では生存期間が従来の化学療法の約2倍(中央値約13か月)を記録
●早期発見が難しく5年以内死亡率約90%とされる難治がんで、副作用が少なくQOL改善も確認された
6か月以上
米FDA承認の前倒し期間
約2倍
臨床試験での化学療法と比較した生存期間
約13か月
新薬併用投与群の生存期間中央値
約90%
膵臓がん患者の診断後5年以内死亡率

米食品医薬品局(FDA)は、膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ(daraxonrasib)」を当初の予定より6か月以上前倒しで承認した。臨床試験では、既存の治療が効かなくなった患者の生存期間を、従来の化学療法の約2倍に延ばす結果が示されている。

この新薬は、米ダナ・ファーバーがん研究所のブライアン・ウルピン医師らの研究をもとに開発された。膵臓がんで異常な細胞増殖を引き起こすとされる特定の遺伝子変異を阻害する仕組みを持つ。

ウルピン氏が主導した臨床試験では、他の治療が効かなくなった患者に対し、新薬と免疫系を活性化する薬剤を併用投与した。その結果、化学療法を受けた患者と比較して生存期間が約2倍となり、生存期間の中央値は約13か月を記録した。時間の経過に伴い耐性が生じる例は見られたものの、化学療法に比べて副作用が少なく、患者の生活の質(QOL)や痛みの改善が確認されたという。

膵臓がんは腹部の奥深くに位置するため初期症状に乏しく、簡便なスクリーニング手段も確立されていないため早期発見が難しい。進行が速く再発率も高いことから、診断後5年以内の死亡率は約90%、ステージ4では97%に達する。

ウルピン氏が6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会でこの成果を発表した際には、会場から大きな拍手が送られた。研究チームは現在、効果の持続や治癒の可能性を探るため、他の治療法との組み合わせによる検証を進めている。

TAKEAWAY
予定より6か月前倒しで承認された新薬は、生存期間を約2倍に延ばし、難治とされる膵臓がん治療に新たな希望をもたらしています。
情報源: 元記事を確認
wbur.org