中国ハッカー集団「ボルト・タイフーン」、米当局の解体作戦裏で別ネットワーク構築 インフラ標的に活動継続

暗い背景のなかにルーターやネットワーク機器の接続経路が淡く光る、サイバー攻撃網を概念的に表したイメージ図
AI生成イメージ(説明図)
AI・テクノロジー報道記事

米当局によるボットネット解体作戦の裏で、中国関連ハッカー集団が新たな攻撃網「サイレント・トレイン」を構築し、重要インフラへの侵入を継続していた実態が判明しました。

3 POINTS
●米通信大手ルーメンの調査で、中国関連集団「ボルト・タイフーン」が水面下で運用していた新ネットワーク「サイレント・トレイン」が判明。
●27種類以上のルーターや機器を悪用し、接続時間を平均約4時間に抑えて痕跡を消去する手口で、エネルギー省や公益事業者などを標的に活動を継続。
●米当局による従来のボットネット無力化や外交的警告にもかかわらず、十分な抑止効果が得られていない実態が浮き彫りとなった。
3年間
サイレント・トレインが支援してきた活動期間
27種類以上
悪用が確認されたデバイスの分類数
平均約4時間
痕跡を消すために限定された接続時間
WHY IT MATTERS
重要インフラや防衛網に接続する通信・IT管理ツールが直接侵入されると、危機時に電力供給や通信などの社会インフラが妨害される危険性があります。当局によるインフラ摘発後も巧妙な手口で活動が続いており、防御側の根本的な見直しが迫られています。

中国関連のハッカー集団「ボルト・タイフーン(Volt Typhoon)」が、米捜査当局によるインフラ解体作戦の裏で別の攻撃用ネットワークを水面下で構築していたとする調査結果を、米通信大手ルーメンの脅威インテリジェンス部門ブラック・ロータス・ラボが公表した。

報告によると、「サイレント・トレイン(Silent Train)」と呼ばれるこのネットワークは、政府機関や防衛関連企業、通信事業者、大学、重要インフラ運用組織などを標的とした3年間の活動を支えてきたという。関係者や元米政府高官によると、米エネルギー省の施設や複数の公益事業者も過去1年ほどの間に標的となったり影響を受けたりしたとされる。

米連邦捜査局(FBI)などは2023年12月、同集団が侵入の隠蔽に利用していたルーター網「KV Botnet」を無力化した。しかし、米当局が対処や被害者への通知を進める最中にも、並行して新たなネットワークが形成されていた。

サイレント・トレインは、侵害されたルーターや企業向けネットワーク機器、日常的なインターネット接続機器などで構成されていた。TP-LinkやNetgear、Fortinet製品など27種類以上のデバイスが悪用されており、既知の欠陥がない機器も含まれていたことから、未発見の脆弱性が使われた可能性が示唆されている。また、接続を常時維持せず平均約4時間(数分間のケースもある)に限定し、活動後には痕跡や通信経路を消去していた。

標的は、インド太平洋地域につながる米国の防衛・インフラ網の拠点とみられるハワイ、カリフォルニア、テキサスなどの組織に集中していた。通信事業者に対しては、システム全般の権限を持つ企業向けIT管理ツールを直接狙う手口が確認されている。

米国はこれまで技術的な妨害や外交ルートを通じた警告を行ってきたが、十分な抑止効果を上げられていない実態が今回の調査でも示されている。

TAKEAWAY
摘発を逃れるために短時間接続と痕跡消去を徹底する新ネットワークの存在は、従来のサイバー対策や外交的警告だけでは国家主導の持続的脅威を抑止しきれない現実を示しています。
情報源: 元記事を確認
nextgov.com