電波望遠鏡「CHIME」、宇宙初期の水素シグナルを単独検出 ダークエネルギー解明に新手法

宇宙初期の水素ガスの微弱な輝きと電波干渉計の解析グリッドを抽象的に表現した編集ビジュアル
AI生成イメージ
宇宙公的機関解説

電波望遠鏡CHIMEが他望遠鏡のデータに頼らず、宇宙が約50億歳だった時代の水素シグナルを単独検出。ダークエネルギー研究の低コスト化と拡大に道を開く。

3 POINTS
●カナダのCHIME電波望遠鏡が、宇宙が約50億歳だった時代の水素電波を自前のデータのみで初検出
●他望遠鏡の高コストな銀河探査データとの照合なしに、広範囲かつ過去の宇宙を調査可能に
●蓄積された約7年分のデータを活用し、宇宙が約30億歳だったさらに初期の時代へ分析拡大を計画
約50億歳
水素シグナルが放たれた当時の宇宙の年代
94夜
信号特定に用いた2019年の観測データ
約2%
当時中性原子形態だったとされる水素の割合
約7年分
研究チームが現在利用可能な蓄積観測データ
WHY IT MATTERS
宇宙の加速膨張を引き起こすダークエネルギーの解明に向け、数百万ドル規模の費用がかかる従来の銀河探査に比べ、低コストかつ独立したデータで検証できる新たな観測手法が確立された。

カナダの電波干渉計望遠鏡「CHIME」を用いた国際共同研究チームが、宇宙が約50億歳だった時代の水素ガスが放つ微弱な電波を、自身の観測データのみで検出することに成功した。インド科学技術庁傘下のラマン研究所(RRI)などが参加した成果で、米天文学誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に論文が掲載された。

CHIMEは、初期宇宙における水素の分布を捉え、宇宙の加速膨張を促すダークエネルギーの謎を探るために建設された。これまで観測データの照合には他望遠鏡の銀河探査データが必要だったが、外部データに頼らず単独で過去の水素シグナルを検出できることが実証された。可視光を用いた従来の探査と比べて低コストで、より広範囲かつ過去の宇宙を調べることが可能になる。

宇宙で最も豊富に存在する水素は、物質の分布を追跡する指標となる。関連論文によると、当時の宇宙に存在した水素の約2%が中性原子の形態だったと示されており、従来の測定結果とも整合している。

検出にあたっては、背景宇宙や人工電波、観測機器による膨大なノイズから微弱な信号を抽出するため、新たな解析技術を開発。2019年の94夜に及ぶ観測データから信号を特定し、約50億歳時点の宇宙からの電波であると確認するまでに1年以上の検証を重ねた。

今回の解析で使われたのは、運用開始から蓄積されたデータのごく一部にすぎない。研究チームは現在利用可能な約7年分のデータを活用し、宇宙が約30億歳だったさらに初期の時代へと分析範囲を広げる方針だ。

情報源: 元記事を確認
dst.gov.in